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「…おいしい。」
味は渋かったが、なんだかまったりとした気分になれる。
日本人が好みそうな味だ。
レイスは微笑んで、私の頭を撫でた。
「これは、ルシフェル様も好んで召し上がられる。お前、やはりよく似ているよ。」
「えっ、そうかな?」
「あぁ、恐らくシェイドも同じことを言うだろう。…そのシェイドなんだが。」
「気配を感じた…みたいね。」「あぁ。俺は今からやつを探しに行く。ここで暫く別行動だ。」
レイスには宝刀になれるだけの力はのこっているため、妖刀の微かな気配を感じたらしい。
私には全く感じられなかったので、ここはレイスに任せることにした。
「…わかった。気をつけて。」
レイスは、気配のするほうへ走っていった。
「君も行かなくていいの?」
沖田さんの言葉に、私はゆっくりと首をふった。
「今の私がいっても足手まといになるだけです。それに、貴方たち、私を行かせてくれる気なんてないでしょ?」
「あはは。ばれちゃった?」
「お前には聞きたいことが山程あるからな。行かせるわけにゃいかねぇ。」
…やっぱりね。
これから私はどうしたらいいんだろ…。
シェイドも探さないといけないし、帰る手段だって…。力のない私にとっての頼みの綱は太極拳だけ…。
とは言っても本来の力がだせる訳ではないのだけど…
今すぐこの二人を叩きのめしてここから逃げてもいいんだろうけど、相手が刀をもっている以上はまず厳しいだろう。
とりあえず結論として、私にできることは何一つなく、レイスが帰って来るのを待つだけという事がわかった。
……はぁ。
あまりにも虚しくなってため息をもらした。
しかも、考え事をするだけで頭痛がするし、何処と無く体がだるい。
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