第二章~過去~ (1)

10/10

136人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「どうした?」 土方さんが声をかける。 しかも何か心配そうな顔で。 「いいえ。なんでもありません。少し考え事を…。」 「そうか。」 話すことすらきつくなってきた。体がズンとする感じがするし、頭痛も強くなってきた。 「お待たせしました。土方さん、たくさん買っちゃいました。あとで近藤さんもいっしょにたべましょう。」 「おぅ。んじゃ帰るか。」 …いつの間に団子を買いにいってたの? ま…いいや。 カバンをもって立ち上がろうとしたときだった。 急に目の前が真っ暗になって、その場に倒れてしまった。 「お…おい!大丈夫か!」 抱き上げたのは土方さんだった。 私は薄れていく意識の中で土方さんの声を確認した。 すごく焦ってる… 土方さんの大きい手が私の額に触れる。 土方さんが驚いて声をあげるのと、私の意識がなくなるのはほぼ同じだった。 「熱があるじゃねぇか!」 「土方さん、とにかくはやく帰りましょう。」 …熱? 私、熱がでてるんだ… 「こんなに…苦しいものなんだなぁ…。疲れて…た…のかな…」 土方さんの胸の中でボソボソと口の中でつぶやき、静かに瞼をとじた。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加