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「どうした?」
土方さんが声をかける。
しかも何か心配そうな顔で。
「いいえ。なんでもありません。少し考え事を…。」
「そうか。」
話すことすらきつくなってきた。体がズンとする感じがするし、頭痛も強くなってきた。
「お待たせしました。土方さん、たくさん買っちゃいました。あとで近藤さんもいっしょにたべましょう。」
「おぅ。んじゃ帰るか。」
…いつの間に団子を買いにいってたの?
ま…いいや。
カバンをもって立ち上がろうとしたときだった。
急に目の前が真っ暗になって、その場に倒れてしまった。
「お…おい!大丈夫か!」
抱き上げたのは土方さんだった。
私は薄れていく意識の中で土方さんの声を確認した。
すごく焦ってる…
土方さんの大きい手が私の額に触れる。
土方さんが驚いて声をあげるのと、私の意識がなくなるのはほぼ同じだった。
「熱があるじゃねぇか!」
「土方さん、とにかくはやく帰りましょう。」
…熱?
私、熱がでてるんだ…
「こんなに…苦しいものなんだなぁ…。疲れて…た…のかな…」
土方さんの胸の中でボソボソと口の中でつぶやき、静かに瞼をとじた。
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