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「おや、熱が下がりきっていませんね。寝ていなくてはだめでしょう。粥も自分で食べるのは辛いでしょうから、私が食べさせてあげますよ。」
「んぇっ!?大丈夫です、自分で食べれます。」
……なんと破廉恥なことを言うんだ、この人は!
あまりにも唐突過ぎる発言に、声が裏返ってしまった。
そして、慌てたおかげで目眩が襲ってきた。
倒れそうになったところを山南さんが支えてくれた。
「ほら、無理をしてはいけません。さ、横になりなさい。」
私は顔を赤くして、とりあえず山南さんの指示にしたがった。
山南さんは粥を冷まして食べさせてくれた。
「熱くないですか?」
私はこくりと頷いた。
顔が赤くなっていて、まともに山南さんの顔を見ることができない。
…なんか懐かしいな…
前にもあったっけ…
なんだか、山南さんがケルベロスによくにていて、小さい頃のことを思い出した。
「?どうかなさいましたか。」
「い…いや…。ちょっとだるくて…」
「そうですか。粥も食べきれていませんし…。少しずつでいいので食べておかないと、治るものもなおらなくなります。」
…なんで、初対面の筈なのに心配してくれるんだろ。
とにかく私は、眠りたかった。だるくて食欲もない。
「…まぁ、無理するのもよくありませんね。あと一口食べてください。」
山南さんはニコリと笑って粥を私に食べさせてくれた。
枕元に水と薬をおいて、私の髪をなでた。
「薬をおいておきますので、ちゃんと飲んでくださいね。私は仕事に戻ります。」
「ありがとうございます。」
山南さんが部屋をでた後、私は体を起こして薬を飲んだ。
「…!?苦い…。」
家で作ってる漢方より苦い…。まぁ、“良薬口に苦し”というからなぁ…。
暫くたつと、薬が効いたのか眠気に襲われた。
横になったとたん、深い眠りにおちた。
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