(2)

3/11
136人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「おや、熱が下がりきっていませんね。寝ていなくてはだめでしょう。粥も自分で食べるのは辛いでしょうから、私が食べさせてあげますよ。」 「んぇっ!?大丈夫です、自分で食べれます。」 ……なんと破廉恥なことを言うんだ、この人は! あまりにも唐突過ぎる発言に、声が裏返ってしまった。 そして、慌てたおかげで目眩が襲ってきた。 倒れそうになったところを山南さんが支えてくれた。 「ほら、無理をしてはいけません。さ、横になりなさい。」 私は顔を赤くして、とりあえず山南さんの指示にしたがった。 山南さんは粥を冷まして食べさせてくれた。 「熱くないですか?」 私はこくりと頷いた。 顔が赤くなっていて、まともに山南さんの顔を見ることができない。 …なんか懐かしいな… 前にもあったっけ… なんだか、山南さんがケルベロスによくにていて、小さい頃のことを思い出した。 「?どうかなさいましたか。」 「い…いや…。ちょっとだるくて…」 「そうですか。粥も食べきれていませんし…。少しずつでいいので食べておかないと、治るものもなおらなくなります。」 …なんで、初対面の筈なのに心配してくれるんだろ。 とにかく私は、眠りたかった。だるくて食欲もない。 「…まぁ、無理するのもよくありませんね。あと一口食べてください。」 山南さんはニコリと笑って粥を私に食べさせてくれた。 枕元に水と薬をおいて、私の髪をなでた。 「薬をおいておきますので、ちゃんと飲んでくださいね。私は仕事に戻ります。」 「ありがとうございます。」 山南さんが部屋をでた後、私は体を起こして薬を飲んだ。 「…!?苦い…。」 家で作ってる漢方より苦い…。まぁ、“良薬口に苦し”というからなぁ…。 暫くたつと、薬が効いたのか眠気に襲われた。 横になったとたん、深い眠りにおちた。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!