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「楊!おい、楊!」
「…!?」
恐ろしい夢だった…
おかげで目が覚めた。
衣類は汗でびっしょりだった。
声のした方を振り返ると、レイスが心配そうに顔をのぞいていた。
「大丈夫か?だいぶ魘されてたみたいだが…」
「…うん。ねぇ、貴方たちは普通の人間だったのね…」
「…あぁ。」
私の質問にレイスは、苦い顔をして答えた。
「私、夢をみたの。私が刻印をつけられる夢を…。」
「俺とシェイドは元々お前の用心棒として、ルシフェル様とクロフォード様の遺伝子から作られたクローンだ。お前が刻印をつけられた理由は、最強の兵をつくるため、つまりお前は戦いの駒として利用されたんだ。」
衝撃的な事実だった。
私は戦うためだけの存在。
そういうことになる。
「お前が刻印を刻まれるのといっしょに、俺たちの体は武器に変化できる身体にかえられた。」
「…。」
なにも言葉がでなかった。
知っていたことであっても、ここまで酷いとは思ってもいなかった。
それからレイスは、レイス達(武器)がダメージをうければ、使い手(私)にもダメージが与えられることや私の人格がかわったことなど、いろいろ教えてくれた。
私は、クロフォードおじ様の命令でケルベロスに日本に連れてこられた。
当時は3歳だったにも関わらず、復習に燃えていたらしい。
その頃から戦場に出向いていたこともあったせいか、表情を表に出すことはなくなりケルベロス以外の人間を信用しなくなった。
私の表情がだいぶ柔らかくなったのは鬼竜に会ってから。
それでもまだかたいらしい。
「そういえば、シェイドはみつかった?」
私はわざと話題を変えた。
レイスはゆっくり首を横にふった。
やはり少ない魔導力で微かな気配をたどるのは難しいらしい。
「すまない。引き続き探してみる。また別行動になるが…」
「うん、大丈夫よ。何かわかったらすぐ知らせてね。」
レイスは頷き、静かに部屋をでていった。
レイスと入れ替わりで隊士と思われる人が入ってきた。
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