136人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
井上さんに連れてこられたのは広間。
土方さんをはじめ、何人かの人が集まっていた。
冷たい視線が突き刺さる。
でも私は怖いとか、気まずいとかいう気持ちにはならなかった。
これも、戦場で鍛えられてしまったのだろう。
「みんな、待たせたね。」
「おぅ、源さん。ご苦労。」
その中で沖田さんが、ニコニコしながら小さく手招きをしている。
土方さんは軽く微笑んで、入るように指示した。
「なんだよ、まだガキじゃん。」
「少なくとも、お前よりましだと思うぜ。」
…ガキ。すごく不愉快!
歳も同じくらいのやつに言われたくないわ!
「てめぇらは黙ってろ。さて、ここに来てもらったのはお前に聞きたいことがあるからだ。」
「私は新撰組局長、近藤勇だ。よろしく。さっそくだが、君はどこから来たんだ?」
言っても信じてくれないでしょ。
正直に言うのが嫌だったが、ここで嘘をついてもしょうがない。
「東京から…きました。」
案の定、全員信じられない、というかそこはどこだという表情になってる。
言うんじゃなかった…
それからいろいろと質問に答えていると、山南さんがひらめいたように口をひらいた。
「もしかしたら、君は未来の日本からきたのかもしれませんね。」
「おい、山南さん。そりゃどういう事だ?」
「まず、君の服装。これは異国の服です。それから東京と言う國は存在しません。となると、未来からきたとしか考えようがありません。」
…!?
てことはタイムスリップしたってこと!?
胸の奥がモヤモヤする。
頭も混乱しているのにそんなことを言われても理解できるはずがない。
眼の奥が熱くなってくる。
「よくわかった。君の身柄は新撰組が預かろう。もちろん、君の帰る手段を探すのも全力で協力しよう。」
最初のコメントを投稿しよう!