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―――夕刻。 「…い。おい。起きろよ。」 ん…。 私は体を揺さぶられ、ようやく目をさました。 目の前には私を男呼ばわりした同じくらいの年の男がいた。 しかもなんか照れくさそうにしてる。 「よぉ…。あのさ…。ごめんな。俺、てっきり男だと…」 「それはもう気にしていません。」 落ち込んでいないことをはなすと、安心したようで顔が明るくなった。 「そっか。よかった。俺、藤堂平助。」 「龍崎楊です。」 藤堂さんの笑顔は子供みたいにかわいい。 その笑顔をみてると、私の表情も緩む。 熱も下がっているようで、気分もすっきりしている。 …よかった。 下がってる。 「飯だぜ。土方さんが呼んでこいって。」 「ありがとうございます。…あ。藤堂さん、行く前に少しだけ…。刀を抜いてもらえますか?」 「ん…?いいぜ。庭で…な。」 私は制服に着替えて、藤堂さんに続いて庭に出た。 術が使えるかためしたかったのだ。 藤堂さんが刀を抜いて構える。 「いいぜ。」 私は印を結んだ。 「破!!」 …何もおこらない。 やはり、完全に力を失っているらしい。 藤堂さんはキョトンとしている。 「すみません、ありがとうございます。さ、行きましょう。」 「お…おう。」 藤堂さんは刀を納め、急いで広間へ向かった。 私も、とりあえずついていった。
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