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――かれこれ2時間は話しただろうか。外を見るともう月が顔をだしていた。
月…
綺麗…
「どうしましたか?」
月を眺めながらぼーっとしていると、いつの間にか山南さんが隣でお茶をすすっていた。
「いえ、月が綺麗だなって…」
「今日は満月ですか。あまりの美しさについ本音がでてしまいそうです。」
…?
何を言ってるのかわからない…。
確かに月は綺麗だけど…
山南さんはあきらかに月ではなく私の方をみていた。
なんかよくわからないけど、顔が火照ってきた。
気がつけば、自分でも理解しがたい言葉を発していた。
「な…なんか暑いなぁ。夏みたい…。」
「ははは。そりゃ今は夏だからな。」
近藤さんは笑いながら当然の事をいった。
土方さんはなんだか怒ってるみたい…
さっきから眉間にシワをよせて黙り込んでいる。
「とりあえず、もう夜になっちまったことだし、そろそろ寝るか。」
「そうですね。龍崎くん、部屋まで送りましょう。」
私が頷きかけたとき、土方さんが私と山南さんの間に入ってきた。
えらく焦っているようにもみえる。
「いや、こいつは俺が送る。山南さんと近藤さんは休んでてくれ。」
「おや土方くん。私は別に構わないのですよ?」
「い、いや!こいつは俺が連れてきたんだ!俺が面倒みる。」
「そうですか。わかりました。では、おやすみなさい。」
近藤さんと山南さんは、私たちに笑顔をみせて部屋へ戻っていった。
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