第三章~現代と過去を結ぶ鍵~

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――江戸時代、京都 翌日、私は藤堂さんの隊の見回りに同行した。 もちろん、帰る手だてとシェイドを探すため。 相変わらず私には本来あるはずの力が無いため、シェイドの気配を探すことはできない。 もちろん、レイスの気配すら感じない。 「はぁ…。」 思わずため息をついてしまった。 ため息をつくと幸せが逃げる、と言うが本当らしい。 「どうしたんだよ、ため息なんかついてさ。」 「あ、いえ、なんでもない…です。」 質問されてとっさにでた答えがこれ。 我ながら情けない。 早く帰って安心させてあげないと… 鬼竜に殴られる!! 一人でガクガク震えてたら、藤堂さんが心配そうに顔をのぞいてきた。 「どうしたんだよ。震えてんぞ?」 「友達のこと思い出したら…。早く…帰らないとって…」 「落ち込むなよ。すぐにみつかるって!あ、あと俺のことは平助でいいよ。同じくらいの年だしさ。」 藤堂さん… いや、平助くんは笑顔で励ましてくれた。 おかげでいくらか元気を取り戻せた。 「ねぇ、平助くん。どうしてそんなに優しいの?」 「えっっ!?どうしてって言われてもなぁ…。」 突然の質問に、平助くんはとまどってしまった。 それに、平助くんの顔がほんのり赤くなっている。 ちょっとやり過ぎたかな…。 「き…今日も異常なし…!さ、帰ろうぜ。」 なんか凄く動揺してるように見える…。 ま…、今日は収穫なし、か。 結局、シェイドと帰る方法は見つからなかった。 平助くんの言う通り、屯所へ戻ることにした。
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