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私は部屋の隅っこに小さくなった。
「レイス…」
早く帰ってこないかな…
「どうした?」
突然、頭の上で声がした。
驚いて顔をあげると、レイスが心配そうに私の顔をのぞきこんでいた。
「びっくりした…。どうだった?」
「気配をたどってみたが、途中で気配が消えてしまってな…。すまない…。」
シェイドは見つからなかったらしい。
けれど、もう少し探し回れば見つかる…ような気がした。
それと同時に、嫌な予感がしていた。
私が感じる“嫌な予感”は恐ろしいくらいよく当たる。
「どうした?」
「いや…。なんか嫌な予感がする。」
「どんな予感なんだ?」
「よくはわからないけど、プラスになるようなことではない出来事が起こりそうな…。」
今から斬り合いがおこる…
そんな残酷な予感がしていたのだ。
残酷と一言でいっても、私が今までにしてきたこと、つまり無差別に人を斬り捨て、伯父のいる冥土に送っていたことも同類に値している。
そのため、あんまり他人のことをとやかくいう権利がない。
レイスもその事は承知済みであるという顔で黙り込んでいた。
しかし、とやかくいう権利がないとは言っても、斬り合いは止めなければならないと思った。
新撰組のため…
いや、土方さんのため…
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