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私は廊下で広間で行われていた会議の内容を聞いていた。 それも、こっそり。 「黒くて重い刀」と聞いたとたん、私は背筋が凍り付くような感覚に見舞われた。 その刀は、紛れもなくシェイドである。 妖刀ムラマサは、触れた者に自分を使いこなせるだけの力を与える。つまり、どんなに重かろうが誰でも使えると言う厄介な代物である。 なにせ陰の力をもつため、心悪しき者が触れるとその力は何倍にも増してしまううえに、すんなりと意図も簡単に操れてしまう。 「あぁ…、何てこと。…まぁ、誰にも抜けなかったのが幸い…。レイスに知らせなきゃ…。」 誰にも抜けなかったのが幸いと言うのは、シェイドが力を制御できてるということ。或いは、長州や薩摩の人たちに悪意が無いだけか。 子供の姿のシェイドは、莫大な陰のエネルギーを最小限に押さえ込むための姿。 その状態で力が大きくなると、いくらシェイドでも制御できなくなる。 一刻も早くムラマサを取り戻さないと… レイスに知らせに部屋へ戻ろうとした。 …が。 体が動かない。 私の体は、金縛りにでもあったかのように座ったまま廊下にへばりついている。 シェイドが他人の手に渡ってしまったという恐怖で腰が抜けてしまっていたのだ。 「私としたことが…。ムラマサが他人の手中にあると聞いただけで腰が抜けるとは…。」 全く情けない。 何事にも眉ひとつ動かさなかったわたしが、刀1つでこんなにも怯えなければならないなんて… とりあえず私は重たい体をなんとか立たせ、部屋へ戻ろうとした。
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