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私は土方さんを睨んだあと、直ぐに部屋へ戻った。
レイスが迎えてくれたものの、かなり驚いた表情で迎えてくれた。
今の私の顔は涙でぐちゃぐちゃなのだろう。
実際、涙で視界がぼやけている。
「どうした…?」
「レイス!シェイドを取り戻しに行くわよ!」
来るなと言われれば行きたくなる、と言うのはまさにこの事であろう。
私は悔しさで我を忘れていた。
「ちょっとまて。何があったんだ!?それに場所は…?」
「池田屋よ!新撰組にこっそりついていくのよ!」
「…ふぅ。」
レイスはため息をもらした。
そして微笑んで私の頭をなでた。
その行為にようやく落ち着いた。
「わかった。だが、その前にお前が落ち着かないと俺は力を発揮できない。」
「レイス…」
「先ずは涙を拭くんだ。」
そういえば…そうだった。
泣いたのはかなり久しぶりだった。
4つのときに刻印をつけられたとき以来だ。
レイスが服の袖で涙をぬぐってくれた。
「落ち着いたか?」
「うん。ありがとう、レイス。あたし、ついカッとなっちゃって…。土方さんを睨んじゃった…。嫌われた…かな…?」
「大丈夫だ。あとで謝ろう。あいつなら許してくれるさ。」
「うん。」
レイスはいつも私に元気をくれる。
シェイドも同じ。
だから、何としてもこの手で取り戻さないといけない。
「行こう。どんな手を使ってでもシェイドを取り返す!」
「あぁ。」
私たちは周りを伺いながら部屋を出た。
誰もいない事を確認し、庭から塀を飛び越えて町へと出た。
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