第1章場当たり的、その場しのぎ、手探りの介護

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「だれがこんなことしたっ!」 2005/2/25(金) 午前 11:20 某月某日 午後11時半頃。母が四つん這いで(母は腰の圧迫骨折を二回しており自力歩行が出来ない)わたしの寝床へやってきた。 「にい~ちゃん、にいちゃん!」 「お便所か?」 「はよはよー」 「はいはい、行こか~」母の両手を取り、立ち上がらせる。おトイレまでは3メートルくらいだ。 「はよしんかいな!、もう」 「もうちょっとやで、我慢しぃ~や」 「なにしてんのー!」母にすれば、私がもたついているように見えるのだ。 「腰痛いやろ、慌てんでええから、大丈夫やでぇ!」ようやくトイレにたどりつき、母を便座に座らせた。母が用を足している間に、私は、キッチンへ急ぎ、給湯器のスイッチを入れに行った。 「にいちゃん、にいちゃん、なにしてんのー!」トイレから母の声。声のトーンが何時もと違うので、あわてて、トイレへ。便座の前にウンチが!。 「お袋ちゃん!ちょっと待って!そのまま、動いたらあかんで~!」 「なんでやのん!」怪訝そうに私を見上げる。 「ああ!触ったらあかんで~」 「ほらここ汚れてるやろ?拭かなあかんから~」 「ああ、触ったらあかん!」 「はよしいな、もうーっ!!」 「分かった、わかった、早よするから、ちょっとそのまま動いたらあかんで~!」私は急いで、雑巾や便座拭きで、母の両足に汚物が付かない様に、必死で拭いた。 「にいちゃん、さむいっー!はよしてーな!」 「もう直ぐやで~」 「あんたっ!わたしが、さむいのん、わかってんのんかっー!」怒鳴る母。ついにキレました。 「さむいやんかー、アホー!はよしいなっー!」と、私の頭をこづきながら、本気で怒っているのだ。 「そんなんこと言うたって、なぁ見てみ、ここ汚れてるやろ、綺麗にしとかなあかんやんか~」トーンダワンする私の声。 「だれがこんなことしたっー!」 「うん!」と、私は絶句し、母の顔を見上げた。 「なにをみてんのんっ!」(あほかーっ!、と言わんばかりに)そんな私を母が一喝した。(僕や御免なー!)と、私は心の中で呟やきました。この家には、母と私の二人きりなのだが。
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