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指は、 死後に千切れたものらしい。 そんな事まで判るなんて つくづく科学は凄い。 …凄くて、残酷。 それで死は確定し、 事件後、やっと行われた葬列。 だから、彼が居なくなってからは 2ヵ月ではなく、もっと経った。 これほどまでに細密に調べられて 疑う曖昧さ、まで奪われたら 逆に俺たちは どうしようかと呆気にとられた。 最悪を思っては嘆いて、 希望を持っては励まして。 そうして日々を過ごしたから。 何も、浮かぶ余地がなかった。 ただ、最初のような衝撃は無く 心のどこかは、やっぱりと言い またどこかは、絶対違うと叫んだ それは混沌とせず、 綺麗に分かれて存在していた。 現実と非現実のように。 .
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