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海へ行った。
青の沈む海へ。
防波堤から眺める外海は
余りに遠くて。
太陽の光を受けた波間が
きらきら光っていた。
しばらく眺めていたら
船が通り過ぎて。
それに乗れば
もっと近くまで行けるって。
だけど
何もしないまま
ただ、それを見送った。
俺は、何がしたいんだろう。
ここまで来て
何かを得られるとでも期待した?
(あなたに会えるなんて)
そこまでは現実を手放せず、
夢に浸ることも出来なくて。
中途半端なんだ。
強い悲しみは薄れて
曖昧な痛みに慣れて
こんなに苦しいのに
こんなに胸が痛むのに
時が過ぎれば悲しみは
その鮮明さを喪うから。
あなたへの愛も?
両腕で抱え込んでも
零れ落ちていく気がして。
一日を越えるごとに
昨日に置いてきた気がして。
俺は途方もなく、悲しくなった。
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