第一章~始まりの日

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 小鳥達が朝の会議を始める静かな朝。  あるお寺の和室で無機質なデジタルのアラーム音が、その静けさを破る。 「……むぅ」  けたたましい音に、和室で寝ていた風間翔(カケル)は目を覚ました。翔は悪態をつきながらアラームを止め、伸びをする。  半身を起こして周りを見渡すと、最近やっと見慣れてきた部屋。真新しい教科書が散乱した机に、壁に掛けられたこれまた真新しい制服。それ以外には何も無く、つくづくつまらない部屋だと思う。  部屋の出入り口である障子からは、暖かい朝日が差し込んでいる。  あまりの気持ち良さについ二度寝したくなるが、グズグズしている訳にもいかない。  翔は布団から這い出ると、壁に掛けてある制服に手を伸ばす。  丁寧にアイロンの掛けられたワイシャツは、家事をしてくれている娘の性格が出ている。
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