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人を呼んどいて自分の分しか出してない奴が、果たしてどこにいるだろうか。――反語にはならない。実際にいるのだから。
「……またか」
これが初めてではない。ここに来てからずっとだ。
といっても、ここに下宿し始めてまだ三日しか経っていない。それでもいろいろなことに慣れてきてはいる。だが、朝食が用意されていないことには慣れなかった。
翔がため息をついて立とうとすると、一人の女子高生が片手に白いエプロンを持って、居間に入ってくる。
真っ先に目につくのは彼女の顔。雪のように色白で怜悧な美貌だが、印象的である大きな目が少しキツイからか、気が強そうに見える。アイドルなんかには興味がない翔だが、彼女はとても魅力的だった。
彼女は翔の真向かいの席に座り、
「おはようございます、住職様」
艶のある長い黒髪をさらさら流しながら、軽く頭を下げた。
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