濡れたレンズ

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電車の窓に映る景色。夜景が雨に濡れてぼやける。 いつもと変わらない車内。 ケータイを見る人々。 詩織の隣に座るきよらも、なにかメールしてる。 ぱちっ ケータイを閉じるきよら。 なにげなく詩織と目が合う。 「今日はありがとうね。楽しかった。……詩織つき合わせちゃった」 きよらのすまなそうな微笑み。 「ううん」 詩織の目線が、きよらから手にしてる傘へ移る。 雨粒が車内の光に照らされてる。 「もういい? ごめんアタシ疲れてるみたい。ちょっと寝るね」 詩織がそのまま眠りこむ。きよらが、もたれかかってきた彼女をそっと肩で支えてあげる。 自分も目を閉じる。頭をちょっと詩織に傾けて……。 電車の音が遠くなっていって……。
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