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その日の勤務があけた城崎は、ケータイを取る。 「メール…きよらのはないや。…あの子ちゃんと帰ってきてるでしょうね…。…『きよら』…」 電話する城崎。 「なに」 いつもと同じ不機嫌そうな声…。 「ママだけど。悪いけど、ごはん作っといてくれる?」 どっと疲れを感じながらすまなそうに頼む。 「えー、で他は?」 「うん。今日詩織ちゃんとどうだった?渋谷」 機嫌を取るみたいに訊いてみる。 「雨で最悪。…てかもういい?切るよ」 娘とのすれ違いが城崎にはかなり気になった。 (あの子、あたしが働いてるの気に入らないのかな?でももう、さすがに甘えたい年じゃないし。なんだろうね) 城崎がマイカーに乗り込んで、介護施設を出る。 (22:14か…。今日も太田さんにはやられたなw) 夜の道を住宅地へ向かう。まだ郊外で空き地が続いてる。 (あーあ、疲れた) テールランプが夜の闇に消えていく。
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