全貌

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父親に心配していると言われると、こそばゆくなった。 母親は涙まで流している。 恥ずかしいからやめろよ、倒れてただけだろ。 それから数日、俺は人が変わったかのようだった。 両親と頻繁にコミュニケーションを取るようになった。 それだけでなく、学校で友達を作った。 些細ではあるが趣味も持った。 俺は今の生活に満足している。 今までは自分一人で生きているような考え方だった。 だが今回の出来事で、俺の為に動いてくれる人がいるということを実感した。 自分一人では見出だせない考え方があるのを、人と関わって初めて知った。 自分が成長していくのを感じられた。 人を信じるという事。 それがどれだけ大切な事かが分かった。 俺は生まれ変われたんだ。 あの時現れたもう一人の自分。 結局何を伝えようとしていたのか、果たして自分の解釈が合っているのか。 俺は今も分からずにいる。
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