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私は思わずクレイドさんに抱き付いた。
「やめてください…!血が…!!」
アルシュさんはため息をついて剣を収め、クレイドさんもすごく驚いた顔をしたけどふっと笑って短剣をしまってくれた。
「この私をその身で止めようとは…」
「え?」
「貴女に対し、興味も湧いてきました。それから、期待もね」
「期待?…って、それどころじゃなくて!」
「?」
首を傾げ不思議そうな顔をするクレイドさん。
「手、出してください」
「はい」
「そっちじゃなくてこっちです!」
そっと左手を持ち上げると、ぬるっとした感触があって、ぞっとした。
「手当てをしましょう?」
「おやおや、これはまた……私なんぞのために、良いのですか?」
「何言ってるの?貴方にだって価値はあるでしょ?当たり前よ」
「…………」
クレイドさんは本気の本気で驚いた顔をした。
私、何か驚かせるようなこと言った…?
「く、ふふふっ…ハディス、どうやら貴方の出番はないようですね」
「あぁ。そうだな」
ハディスさんの出番?
私がそんなことを思っていると、ハディスさんが私のところに来て私の手を取りクレイドさんの傷にかざすようにした。
「あの…ハディスさん?」
「少し、力を込めてみろ。治れ、と思え」
「え…?」
「やってみろ」
「あ、はい…」
言われた通りに私は力を込めた。
すると、私の手からひんやりとした何かが出てきた。
それは淡い緑色の光で、みるみるうちにクレイドさんの傷はふさがり血も止まった。
「何…これ…」
ハディスさんは満足そうに微笑み、こう言った。
「どうやら、お前がアリスというのは本当らしいな」
と…
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