2人が本棚に入れています
本棚に追加
ハナちゃんはいきり立つ。
「知らないよ~。ホストなんか行かないもん。
ハナちゃんは行ったことあるの?」
ハナちゃんはちょっと照れた素振りをする。
「………………一度ね。
でも『ラブイズ』のナンバーワンって、『ナイナビ』にも載ってるし!
彼の写真もあったよ!」
…………明らかに一度行っただけではない感じだ。
『ナイナビ』と言うのは『ナイトナビ』という、スナック、キャバクラ、ホストの案内雑誌の様なものだ。
それだけに『ナイナビ』に載るホスト、ホステスは顔もナンバーワンでなくてはいけない。
「でもあの人が『ナイナビ』載るのも解るなぁ~。
あんなのに告られたら即OKしちゃうもん……。」
ルイちゃんがそう言うとハナちゃんも嬉しそうに、うんうんと頷く。
「………ふ~ん………。
そんなもんかしら………。」
私には理解しがたかった。
だってホストだよ!?
と言いたい気持ちはあったものの、何だか楽しい妄想をしている2人を邪魔するのが申し訳なく思えた。
「…………なんか私が悩んでそうな顔をしてたみたいだから………。
………そんな私を放っておけなくて場内入れたみたいだよ。」
ルイちゃんとハナちゃんは顔がパァッと明るくなっていくのが、手に取るように解る。
「じゃあ私もしよっ!
…………こう?」
「それじゃウミガメの産卵って顔だよ!
……………こんな感じ?」
「うわぁ~………
超ブス。」
「こう?」
「いや、こう?」
2人は閉店までそのにらめっこを続けていた。
私は傍ら、大爆笑だった。
タイジ…………………。
悪い人じゃない……………かな………。
私の話も真剣に聞いてくれたし、真面目にアドバイスもしてくれた。
ホストだから………………………
っていう偏見も良くないよね。きっと。
私も好きでこの仕事を始めた訳じゃないし、………タイジも何らかの事情で今の仕事をしているのかも。
別に恋愛としてじゃなくて、水商売の先輩として色々教えてくれるかも知れない。
ましてや人気ナンバーワンの店のナンバーワンホストだから、色々知ってるはず。
………………………
メールしてみようかな…………。
(人間って不思議なものだ。
何かで成功している人に対して、あまり疑問も持たず、何かを学ぼうと信頼してしまう。
それが最悪な結果を産もうとは知らずに……。)
最初のコメントを投稿しよう!