①幻想入り

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「あーあ、またご飯抜きなのかー」 どうやら、相当空腹だったらしい。 仕方が無いので飴を取り出して渡す。 「これでも良かったらどうぞ」 少女は暫く見つめると、パクッと口に……。 「ちょっとまてゐ!包装紙は取りなさい!?」 「包み紙?」 「そう」 包みを外して今度こそ口に含んだ。 「甘い」 「だろうね」 幸せそうに微笑む少女を見て私も少し笑みを零す。 「ところで、名前は何て言うの?」 「ルーミアだよー。貴女は?」 「私はミカゲ。よろしく」 互いの名前も知れた所で、本題を切り出す。 「良かったら、人が住んでいる場所まで案内してくれないかな?」 「迷ったのー?」 「そうとも言う、暗くなって見通せなくなってしまったしな」 「人里へは行けないから神社でいーよね?」 「ああ、かまわない。でもどうして人里へは行けないんだ?」 「え?私が妖怪だからだよー?」 「……妖怪?」 「そーなのだー」 現代では幻想とされていた存在が、普通に目の前に居りましたとさ。
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