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「貴女がお賽銭入れてくれたの!?」
そう言って詰め寄る女の子。
テンション上がり過ぎじゃないかな?
「その通りだが」
「ありがとう!!」
「いや、感謝される事じゃないと思う」
本当に物凄いはしゃぎ様だ……。
「これで食べ物が買える!肉ぅ!魚ぁ!」
此処の人たちはみんな飢えているのかと心配した私であった。
気を取り直して、交渉に入る。
機嫌を損ねないように慎重かつ大胆に。
これだけ機嫌が良ければ、どんなお願いも聞いてくれそうではあるが……。
「それで、夜分遅くに申し訳ないのだが、一晩泊めて……」
「良いわよ!」
はい、即答していただけました。
「ミカゲです。よろしくお願いします」
「レイムよ。此処、博麗神社の巫女をしているわ。あと、敬語はいらないから」
「わかった、改めてよろしく」
これで、今晩の宿は困らなくなった訳だ。
「ところで、この人食い妖怪はどうして此処に?」
レイムの目線が鋭くなる。
「いや、道案内を頼んだんだ」
「貴女、人間じゃ無かったのね」
「いいえ、人間です」
「食べられなかったの?」
「教育的指導をしたまでの事」
飴で餌付けをしたとも言う。
「私はもう帰るよー」
「うん、今日はありがとう」
「じゃあねー」
私は手を振って、ルーミアに別れを告げた。
「寝床を準備するわ。ついて来て」
「ああ、わかった」
優しい月影に照らされて、夜は更ける。
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