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驚きに目を見張った私の様子に満足したのか、人外の蜘蛛はベロリベロリと、まるで犬のように体を舐め上げる。
「っ……」
情けない事に、私は擽られる事が苦手なのだ。
笑ってしまえば、この人外の蜘蛛は気を悪くするに違いない。
それでは、反撃の機会を永遠になくす事になる。
「やめっ……」
笑いの発作から来る涙を浮かべて、人外の蜘蛛を見上げれば、それは腰に脚を這わせた。
そこだけは勘弁してもらいたい。
「?」
節くれだった脚に器用に下衣を剥ぎ取られて、私は完全に丸裸にされた。
今度は腹部をベロリと舐められる。
「なななっ……」
パニックに陥る私を意に介せず、人外の蜘蛛はペロペロと下肢を舐めながら、時々思い出したように肌を甘噛んだ。
その感触に、一々ぴくりと体が震える。
食われる事への恐怖から来る、反射のような物だ。
その情けなさから涙が滲む。
ふと人外の蜘蛛を見上げると、それは何かに気を取られているらしく、私の上から退きはしない物の、じっとそこに視線を向けていた。
「……」
視線の先を確認する。
「人間は交尾が好きだったな」
誰も彼もが好きな訳じゃない!
断定するような人外の蜘蛛の声に、羞恥と怒りから熱が競り上がる。
おそらく、今の私は真っ赤になっている事だろう。
ぶよぶよとした手が閉じていた足を押し開き、直接下肢に触れた。
不快な手にまさぐられて、逃れようと私は体を捩る。
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