はじまり

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一週間が過ぎても 相変わらず七海の周りに変化はなかった   話す相手もいないまま、早々一人昼食をすませ音楽室に向かう七海   「ハァ~」  ため息をつきながら自分の席に着く   窓から空を眺めながら あぁあぁ 出遅れちゃったなぁ 高校生活に多少は期待していた七海にとって、今の現状は正に最低であった。   授業のチャイムがなり、少したった頃、七海は、この前した自分の落書きに目が止まった   えっ❗   自分が書いた小さな落書きの下に何か書いてあった。   「友達が欲しいな」   「友達いないん?」   「淋しい奴だな」   ムカ💢   なんだコイツ❗❗   少しの悲しさと同時に腹が立った💢   だが、誰が書いたかわからない落書きにムカついても、やり場がない   うぅ~ん   少しの間、考えた末 シャーペンを走らせる   「淋しい奴で悪かったね」   「その内 友達つくるから良いんだ」   よし❗❗ 書いてやったぞ   悪口を書いても良かったが、小心者の僕には、これが精一杯の反撃なのだ。   授業が終わり教室に向かいながら、誰が書いたか少し気になっていた。   バカにされた感じもあったが、怒りと違う感じの思いが胸の中にあったからだ。   入学して以来 会話と言う会話をしてない僕にとって、新鮮な出来事だった。       次の週 音楽の授業が少し待ちどうしかった僕は、急いで音楽室に向かった。   変な事を書かれてないか不安があったが、それでも気がはやった。   音楽室に入るとやはり、まだ誰も来てない 急いで席にむかい机を見てみた。   書いてあった❗   この前、書いたのが消された所に   「ん❗」   「本当に友達いないんだ」   「悪かったな 本当だと思わんくて」   「早く友達出来るといいな」   読んだ瞬間、胸に温かいものが流れたきがした。   とっても穏やかな気持が広がる感じ   優しい人かも😌   授業中、これで書きが終わるのが、寂しい僕は何か書かなきゃ と必死に考えた。   この人が誰かわからないし、友達になれる訳ないのは分かるけど、それでも繋がりが欲しかったんだ。   「いいんだ 僕もゴメンね」   「それに、ありがとう」   「落書きに返事書いてくれて 少し嬉しかったりするんだ」   その言葉はウソじゃない 七海の心から出た気持だった。
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