向日葵

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「なぁ 俊 俊」  誰かの声がする…   「おい 俊!起きろよ」   俊と呼ばれた少年は、机に伏せていた顔を上げて、自分によびかけた人物をみあげた。   まだ夢の中から抜けていない様子の俊は、声の人物を眠た眼で見つめ話し始めた   「えっ 何❗ 何か用?」   「何かじゃねぇよ 次の授業音楽だぜ、早くしろよ、おいてくぞ」   「あっ 悪りぃ 海流まてよ」   俊はこの春、成凌学園に入学した生徒だ。少年と呼ぶより 青年と呼ぶに近い様子、成績も良く、人に好かれやすい性格の俊のまわりは七海とは対象的であった。      「待ってよ」   「ったく 入学したばっかなのに、授業中よく寝れるよなぁ」   「ある意味凄いよ」   「そっか ありがと」  「いや 誉めてないし、てか、俊 お前ズレてるよ」   「はい はい」 「早く行こうぜ 授業始まっちまうよ」   「たっく 誰のせいだ」   二人は小走りに廊下を走り出し音楽室に足を向ける。   ハァ~ 音楽は好きだけど、音楽の授業は好きくないんだよなぁ   もっとロックな曲聴かせてくれればいいのによ。俺はストレートなロックな曲いがい聴たくない。   そんな事を思いながら、また寝ようと机に頭をちかづけると、机に書かれた落書きが目に入った。   何だ?   「友達が欲しいな」 何だ?   誰だ、俺の机に落書きしやがって!   こんなん書く奴 多分暗い奴なんだろうな   始めは気にしなかった俊も、あまりに授業がつまらないのか、机にしてあった落書きに返事を書きはじめた。   「友達いないの?」 「寂しい奴だね」   っと 小さな文字で書き加えた。       この偶然にも似た行為が、二人の出会いであった。   だが 二人は気付いていない この出会いが、これから始まる甘く……悲しい運命の始まりだという事に…
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