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小走りに去る少年の後ろ姿を見つめながら、七海は立ち尽くす。
なぁんだよ 自分からぶつかってきて、あの態度、
少しムッとしながらも約束を思いだし、恐る恐る、音楽室のドアをあけた。
なぁんだ 誰もいないや
七海の胸の中には多少の不安と期待があった。机にあった約束… 向日葵がいるかもしれない…そんな期待をしていたが、脆くもそのきたいはハズレた。
しかし、自分の机に来たとき、何かカキしてあるのが目に写った。
「昼休み呼びだして悪かったな」
「あのさぁ 考えたんだけど、机を使って会話すんの効率わるいし、だから俺のアド教えるよ、メールで話しようぜ。それと読んだら消しといてな」
「メール待ってるな」
まったく期待していなかった展開に、七海は嬉しさを隠せないでいた。
アドレスを教えてくれるなんて、予想してなかったよ。
もっ凄く 嬉しいな
慌てて携帯を取り出しアドを登録する七海
これって?PCのアドレスかな?携帯のじゃないよね?
でも、良いや、嬉しい事にかわりはないや
午後の授業中も七海は上の空だった。余程、嬉しかったのか、回りの声など聞こえていない様子で、もの思いに耽っていた。
向日葵って、どんな人なんだろう?それより何てメールしよっかな?
高校入学した時におじいちゃんが、携帯、買ってくれたけど、まだ家族以外で使ったことがないもの
かなり緊張する💦
「ただいまぁ」
学校が終わり足早に帰宅するとすぐ、自室に向かおうとする七海に、呼び止める声がする。 「七海 おかえり」
声の主が、部屋から姿を現した。
その容姿は白髪まじりの優しげな老人だった。その老人に七海は笑顔で答える。
「ただいま おじいちゃん エヘヘ」
「ん? どうした七海?何か嬉しい事でもあったのかい?」
「えっ! 何で」
「いや 声がいつもより 元気があるからね。」
「ちょっとね 今、急いでるんだ。また後で話すよ」
そう言い残すと、急いで七海は自室に向かった。
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