あの人恋唄

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    初夏の空は何処までも高く清んでいる。   通り過ぎる家々から時たま聴こえる風鈴の音に耳を傾けながら、二人は暫し無言で歩き続けた。     (近藤さんとの沈黙は心地好い…)     優しく吹き抜ける風に、僅かに目線を向けながら、土方は一人そっと微笑んだ。         「そう言えば思い出すなぁ。」     土方が風に遊ばれる自分の髪をそっと撫で付けた時、近藤がそんな風に話し掛けて来た。  
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