消えた運転手

2/2
前へ
/2ページ
次へ
ザーザーと音をたてながら、雨が降り続く。 深夜零時。いっこうに止む気配はない。 「あーあ…すげー雨だなーまったく…」 そんな愚痴をこぼすのは、タクシー運転手の山田吾郎。 深夜だというのに客足は途絶えない。 今も客を目的地まで届けた帰りだ。 「…ん?」 前方に人影があった。 この雨の中、傘もささないで立っている。 「客か…」 車をとめ、後ろのドアを開けてやると、するりとその人は乗り込んだ。 髪が長く、前髪で顔が隠れてしまって表情が見えない。 「(うわー…不気味な客…)どちらまで?」 「…一ツ橋通りの…ほうまで…」 「了解」 アクセルを踏み、車を走らせる…。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加