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ザーザーと音をたてながら、雨が降り続く。
深夜零時。いっこうに止む気配はない。
「あーあ…すげー雨だなーまったく…」
そんな愚痴をこぼすのは、タクシー運転手の山田吾郎。
深夜だというのに客足は途絶えない。
今も客を目的地まで届けた帰りだ。
「…ん?」
前方に人影があった。
この雨の中、傘もささないで立っている。
「客か…」
車をとめ、後ろのドアを開けてやると、するりとその人は乗り込んだ。
髪が長く、前髪で顔が隠れてしまって表情が見えない。
「(うわー…不気味な客…)どちらまで?」
「…一ツ橋通りの…ほうまで…」
「了解」
アクセルを踏み、車を走らせる…。
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