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「ちっきしょう!キリがないぜ!」
キルフォードは乱暴に壁を蹴飛ばした。あれからだいぶ進んだのだが、お宝の気配はなく。モンスターやトラップがどんどん厳しくなってきた。今しがたも動く鎧を倒したばかりである。
「なあキルフォード・・・」
「なんだよ」
「さっき浄化したゾンビってダークハーフだったんじゃねぇかなってな・・・」
ダークハーフ、闇と交わったとされ迫害されてきた人種だ。彼らの外見や性質は普通の人間と変わらない。いや、まったく同じといってもいい。なぜダークハーフが迫害されてきたのか、いつか聞いた気がする。だが忘れてしまった・・・あまりにもくだらなすぎて。五百年ぐらい前までダークハーフは奴隷として扱われていた。ダークハーフ同士の殺しあいの見せ物・・・魔術の実験体、ほかにもどんな迫害があったのか、数え上げればキリがない。そしてその差別はいまだにに続いている、表だってひどいことはされないが、路地裏に引きまれて私刑にあったりなどと、ザラにある。
そしてダークハーフは家名を名乗ることが許されないのだ。
「そんなことで悩んでいたのか?」
「悩んではいねぇ・・・」
悩んでるように見えたのか?
「だったらなおさらだ、お宝をいただいちまおう」
「あ?」
俺は思わず素で返した。
「ここのお宝いただいて、この遺跡を造った奴に言ってやるんだ。ご苦労様ってな。そうすりゃ殺された奴らにも浮かばれるだろ」
「そうかもな」
あまりにも都合がいい解釈だ、グジグジ考えてもしかたないか。
「ほら見ろよ。今度こそ大詰めだぜ」
キルフォードが指した先には、龍泉の装飾を施した巨大な扉がそびえていた。
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