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結局あの部屋にはお宝はなかった。そのかわり見つけたのが丁重に隠されていた隠し扉だった。ここまでしてどんな財宝を隠したのか知らないが、俺にとってはひたすら迷惑な話だ。だいたい金銀財宝なんで生きてる人間が使ってこそ価値があるのだ。この遺跡を造り上げた奴は陰険なうえに腹黒い奴に違いない。
そうして進んでいるうちに次の扉が見えた。
「二択だぜシャロー」
キルフォードの呟いたとうりだった。そう離れてない位置て扉が二つ並んでいる。
どちらかが正解でどちらかが罠。
「キルフォード、どっちだ?」
「・・・左かな」
「よし、右にしよう」
俺は右の扉を開く・・・これでなけりゃお笑いだ。
「当たりっ」
「ちっ・・・」
キルフォードが舌打ちするが、関係はない。
俺たちが見つけたのは、ランランと光る金銀財宝の山!と言っても実際は小山程度だか、それでも俺の借金を返済して、なおかつ遊ばせてくれるには充分過ぎるほどの価値がある。
「見ろキルフォード!メッキじゃねぇぞ!本物の金だぞ!」
「ウォォォ!これはひょっとしてプラチナ?」
「あのー・・・すいません」
何処からか申し訳なさそうが声が聞こえたが無視。
「すげぇよ!この剣ミスリルで加工してあるぜ!」
「俺たちの物だ!」「あのー・・・」
無視。
「なんか言ったかシャローっ?」
「死ぬほど気のせいだっ!」
「もしもし・・・」
無視。
「すいません・・・」
無視。
「あのー・・・」
『やかましいっ!』
俺とキルフォードは同時に言い放った。
「す、すみません・・・」
「人がどうやって、このお宝を運ぶか思案してるときにだなぁ!・・・って」
俺は思わず上を見上げ、
「なにやってんだ?そんなとこで」
「長い話になるんですけど、できればこういう状態なんで、助けてもらえませんか?」
天井にぶら下がってる鳥かごのような物に、閉じ込められている男は、何故か申し訳なさそうにそう言った。
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