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「んで、あんたなんなんだ?」
俺たちは天井の鳥かごに閉じ込められた男を助け出しからそう訪ねた。
「実は私はセイドベルク王都の宮廷魔術師なんですが、この遺跡の調査を命令されこの場にいるんですが、罠にハマってしまって」
遺跡調査?はて・・・
「何人か仲間もいたんですけど、みんな罠にかかったりモンスターに襲われたりして、生きてるか死んでるかわからない状態なんですよ。私はこの遺跡を調査してる最中に作った地図を頼り、なんとか生き延びたいたのですが・・・そう言えばあななたがたはどうしてこの遺跡に?」
どうしてこんな所に?と、聞かれても・・・はて・・・何か大切なことを忘れているようなが気が。
確か。
『おお』
俺とキルフォードは思わず手を叩く。
「俺たちはあなたたちを救出に来たんですよ。セイドベルクの大臣の依頼で」
「救出しにきてくれたんですね!助かりました!」
いやーすっかり忘れてた。見ればキルフォードも乾いた笑いを浮かべている。
「でも、さっきお宝がどうとか言ってませんでした?」
ギク!
「気のせいですー。こんな金銀財宝なんてめったに見れるもんじゃないから、ちょっと見学してただけです。決して調査隊を救出することを忘れてお宝いただきなんて考えてません!」
「そうですよね。レガシーを勝手に遺跡から持ち出したら、盗掘ですからね」
「そ、そうですね・・・」
俺と調査隊の魔術師はお互いに笑い声をあげた。俺は目の前にある財宝と報酬の金貨三十枚を天平にかけた。どう考えても目の前のお宝のほうが魅力的だ。しかし調査隊がいる以上、財宝に手出しはできない。
おのれ・・・
いっそ全滅してればよかったのに・・・
俺がかなり怖い考えをしていたときだ、
「そんなことより、早くここをでましょう!」
魔術師が急に叫びだす。
「なに、あせってるんだ。レガシーの回収は?」
「それどころじゃないんですよ!早くしないと奴が来ます!」
「どういうことだ?」
キルフォードが当然聞き返す。俺はこの魔術師の慌てかたに嫌な予感を感じた。
「奴はこの遺跡の主で・・・うわー!」
魔術師は悲鳴を上げ卒倒するように尻餅をつく。
「なんだこりゃ!?」
キルフォードが叫ぶ。
部屋の上空に謎の力場が発生していた。こう密度な力場で部屋のチリを集めている。
『これ以上、我が聖域を冒涜することは許されない』
俺はさっきの扉に刻まれた言葉を思いだした。
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