3

7/7
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
(バカなっ・・・) 亡霊は空中で、分解しかかっていた。 「言い忘れてたが、俺は魔術より剣のが得意でね」 俺は燃える剣を横なぎにする。烈火聖剣。俺の得意技で剣に魔力を込めて攻撃したのだ。魔法剣と呼ばれる技だ。 「ただの剣じゃない。不浄を焼き尽くす聖なる炎がやどった剣だ。効いたろ?」 (ぐおぉぉぉ・・・) 亡霊は呻きとともにモヤが体を創り始めていた。しだいに形は明確になる。初老の男、おそらくこれが亡霊の生前の姿なのだろう。 「何か言い残すことはあるか?」 (教えてくれ。ダークハーフにも幸せを掴むことはできるのか?) 「戦いかた次第でな」 (そうか・・・) 初老の男が少し笑った。 (生きてたときに、お前に会いたかった) それが最後の言葉だった。 男は足元から崩れていく。 浄化された魂のかけらが粒子となり宙を登っていく。 俺は最後の粒子が消えるまで見つめていた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!