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(バカなっ・・・)
亡霊は空中で、分解しかかっていた。
「言い忘れてたが、俺は魔術より剣のが得意でね」
俺は燃える剣を横なぎにする。烈火聖剣。俺の得意技で剣に魔力を込めて攻撃したのだ。魔法剣と呼ばれる技だ。
「ただの剣じゃない。不浄を焼き尽くす聖なる炎がやどった剣だ。効いたろ?」
(ぐおぉぉぉ・・・)
亡霊は呻きとともにモヤが体を創り始めていた。しだいに形は明確になる。初老の男、おそらくこれが亡霊の生前の姿なのだろう。
「何か言い残すことはあるか?」
(教えてくれ。ダークハーフにも幸せを掴むことはできるのか?)
「戦いかた次第でな」
(そうか・・・)
初老の男が少し笑った。
(生きてたときに、お前に会いたかった)
それが最後の言葉だった。
男は足元から崩れていく。
浄化された魂のかけらが粒子となり宙を登っていく。
俺は最後の粒子が消えるまで見つめていた。
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