Ⅵ.ルカとオルクスの娘

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 彼が向かったのは、東にある中立の街『ガレーナ』。  ルカは白い翼を羽ばたかせ体勢を立て直すと空中で停滞し、それを視界に納めた後、軽く頬を緩ませ下降する。  入り口の数メートル手前でフードを目深に被り直す。街の入り口には二本の石柱から伸びた蔦(つた)のアーチ。  地面は石畳だが、道の両脇には色とりどりの花々とそれを囲う様に赤茶、白の石が積まれていた。  流れる軽快な音楽に賑わう街並み。  彼はこの街が好きだった。行き交う者も皆対等で、いつ来ても美しいと思えるこの街が。  フードを目深に被ったルカは、今日もまた、ただの【ニールス】のふりをする。  ――  ――――  だが城へ戻ったルカを待ち受けていたのは、慌てふためいた従者の一声であった。  
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