第1章 1日目・夜

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「ということは、ここにいる8人で、泉谷さんの弟子全員ですか?」 僕がそう聞くと、何故かしんと静まり返った。暫くして、ようやく神宮寺さんが、静かにこう言った。 「……もう1人いるのよ、松島っていう人が……」 「神宮寺くん、松島の話はよせ!」 神宮寺さんの言葉を、泉谷さんが途中で止めた。一瞬にして周囲の空気が悪くなるのが分かる。 「……そ、そうだ野瀬くん。雨で身体が冷えているだろうから、風呂に入ってきたらどうだい?」 そんな空気を紛らわせようとしたのか、楠木さんがそう僕に言ってくれた。 「ああ、そうだ。そうした方がいい。冷えとると風邪を引くぞ」 泉谷さんも慌ててそう言い、その松島という人について突っ込むことができる雰囲気ではなかったので、僕は「分かりました、そうします」と言った。
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