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「俺だよ。意外と腕いいんだぜ、俺」
楠木さんは、笑いながらそう言った。その間に島田さんがキングを逃がす。それを見た楠木さんはニッと笑って、「そこでいいんだな?」と訊いてから、駒を動かした。
「チェックメイト」
その後、チェスに勝利した楠木さんは、部屋から出ていった。ちなみに僕は島田さんにチェスに誘われ、半ば強引にチェスのゲームをした。
午後9時を告げる柱時計の音色が、娯楽室に響き渡る。僕と島田さんのチェスのゲームは、終わりに近づいていた。
その時、食事を作りに行った楠木さんが戻って来て、夕飯が完成した事を告げると、室内にいた全員は廊下に出て食堂に向かった。
その時――何か大きな音が、玄関の方から聞こえてきた。廊下を歩いていた全員が、思わずピタリと止まった。
「……今の音は?」
不安そうに、杉下さんが訊いた。
「分かりません……駐車場の方でしたよね?」
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