第1章 1日目・夜

11/15
前へ
/34ページ
次へ
楠木さんのその一言で、皆は一斉に走り出した。玄関のドアを開けて、外に出てみる。――雨は、一向に止む気配を見せていなかった。相変わらずザアザアと大きな雨粒が降り続いている。 駐車場は、玄関の右側にあった。駐車場からは舗装されていない、車一台がようやく通れるぐらいの幅の砂利道がある。 その駐車場には、3台の車が止まっていた。黒い軽自動車と、年季の入ったセダン、それにポルシェだ。 「……これか」 楠木さんが、しゃがみながらそう言った。僕は気になって、楠木さんが見ている物を覗き込んだ。 ――車のタイヤが、パンクしていた。3台とも、すべてのタイヤがパンクしてしまっている。 「車は、泉谷先生と神宮寺さん、それに――俺のか」 どうやらそうらしい。泉谷さんと神宮寺さんが、慌てて車に駆け寄った。どうやらセダンが泉谷さんので、黒い軽自動車が神宮寺さん、白いポルシェが楠木さんのらしい。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加