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楠木さんのその一言で、皆は一斉に走り出した。玄関のドアを開けて、外に出てみる。――雨は、一向に止む気配を見せていなかった。相変わらずザアザアと大きな雨粒が降り続いている。
駐車場は、玄関の右側にあった。駐車場からは舗装されていない、車一台がようやく通れるぐらいの幅の砂利道がある。
その駐車場には、3台の車が止まっていた。黒い軽自動車と、年季の入ったセダン、それにポルシェだ。
「……これか」
楠木さんが、しゃがみながらそう言った。僕は気になって、楠木さんが見ている物を覗き込んだ。
――車のタイヤが、パンクしていた。3台とも、すべてのタイヤがパンクしてしまっている。
「車は、泉谷先生と神宮寺さん、それに――俺のか」
どうやらそうらしい。泉谷さんと神宮寺さんが、慌てて車に駆け寄った。どうやらセダンが泉谷さんので、黒い軽自動車が神宮寺さん、白いポルシェが楠木さんのらしい。
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