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周りの風景は、霧のようだ。どこをどう歩いているのかもわからない。
いつからか、はわからない。気づいた時には、この螺旋階段を登っていた。
いや、登っている気がするだけで、実際は降りているのかもしれない。
とにかく、ぐるぐると伸びている、この階段途中にいることは確かだ。
周囲は霧に包まれているから、どこから来てどこへ向かっているのかもわからない。
…そもそも、この螺旋階段の先に、行く場所があるのだろうか。
もっと言えば、その着いた場所は、自分が行きたい場所なのだろうか。
そう考えた途端、さっきまでは確かに、自分の足元が見えていたのに、見えなくなってしまった。
霧が濃くなったのか。
闇が濃くなったのか。
そうだ。
なぜ、自分の体が見えているのだろう。
霧と闇が広がるこの螺旋階段で。
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