ラジコンのヘリコプター

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空を舞う白いボディーが俺を虜にする。 風もなく、青空の中で輝く白。オモチャでありながら、こんなにも俺を虜にするのは、空を飛びたいという気持ちを、ラジコンヘリを飛ばすことで、昇華させていることに他ならない。 ラジコンカーやラジコンバイクよりも、ヘリコプターは、俺をしびれさせる。 腕がなければ、ホバリングすることさえ難しいからだ。 俺は、青空にこの白いボディーを舞わせるために、毎日毎日練習をしていた。 室内用の子どものオモチャを買って、ホバリングの練習。上下左右前後の動きを練習して、ようやくマスターした。 そして、今日は、ようやくこいつを飛ばす機会に恵まれたのだ。 自分で言う。 俺は、上手い。そこいらのヤツよりよっぽど上手い。…当たり前だ。毎日練習したのだから。 それなのに、アイツは俺の努力を見ることをしなかった。
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