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赤よりも紅い口紅は、彼からの唯一のプレゼント。
貧乏学生の彼が私のために、とわざわざ高いブランドの口紅をくれた。
もちろん、今日、彼が来るから…つけている。
彼と出会ったのは、25歳も年の離れた夫を亡くした頃だった。
夫とは16歳で見合い結婚をした。私は、初恋さえも経験したことがなかった。
15年連れ添った。そして、突然死。
子どもがいない私にとって、夫は唯一の家族だった。
遺産が手に入っても、1人は寂しくてつまらない。そう思っていた矢先に、彼に出会った。
美術展を見に行った時に、フラフラと顔色悪く歩いていた彼がいた。顔色が悪いことで声をかけた。それが縁だった。
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