電車にて

3/12
前へ
/12ページ
次へ
一人の少年はひょいひょい身軽に登っていくが、もう一人の少年は木登りが苦手なのか、それとも高い所が苦手なのか、足をふるわしながら必死に身軽な少年の後を追っていく。 「…駄目だ。それ以上は…」 これは俺だ。自然と声が出たのだ。俺はこの先の展開を、知っているような気がしたから。 「しょうがねぇな、手伝ってやるよ。ホラ」 身軽な少年は少し上から怯えている少年に手を伸ばす。 それに応える、怯えている少年。 俺の頭の中で警鐘が鳴り響く。 「…駄目だ。駄目だダメだだめだ駄目だ!」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加