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君が好きだったこの街に僕はまだ何かを期待しているのだろうか?
君がいなくなってどれくらいの年月が経っただろう
最初の一ヶ月は食べ物もろくに喉を通らなかった
家から出れるようになるには一年が過ぎた夏の始め
君が好きだった『夏』
海にから来る潮の香り、心地いい風
たったそれだけでまた君を思い出す
なんで僕を置いていってしまったんだ?
君はいつも僕を置き去りにして進んでいってしまう
もぅ進み方も歩き方も忘れてしまった僕に、もし君がいたら何て言うだろうか?
もぅ忘れよう
その言葉だけを繰り返して、僕は別の道を探した
新しい就職場を探し、そして仕事だけに熱中した
記憶の奥へ奥へと君を追いやった
仕事に疲れ、ふと窓を開けて街を見る
僕はこの街が嫌いだ
君が消えたこの街が大嫌いだ
なのに何故この街から離れずに働いているのだろう?
忘れようと思っていたのに、もぅ苦しい思いはしたくないはずなのに…
なのになんで君の笑った顔や怒った顔や泣いた顔が浮かんでくるんだ…
あぁそうか
風にのって潮の香りが僕まで届く
また夏が来たんだ
君の好きな、君の知らない夏が…
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