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電車、雨
電車内から見る、雨に濡れたコンクリート群は灰色に湿って懐しく、わたしはたまらなく、何処かに還りたくなる。
雨。ワルツ。燃えるゴミの日。午前11時。ひとり。電車。
けぶるような雨が御茶の水駅の緑の彩度を低くした。
神様の色彩調節。
天国は、今日みたいな日に在るのだと思う。
空いっぱいに広がる、重たい優しい色の雲の端っこに、天国はある。
四ッ谷駅のコンクリートの壁の苔の匂いを想像してみるが、消えてく速度に負けて空想はずっと遠くに流れた。
代々木駅。山手線。ぐるぐる。雨。まわる。コンクリート。まわる。匂い。
わたしは何処かに還りたくなる。
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