ある日曜日

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どんどん皆が離れてく… 原因は自分にあるってわかってるんだ それでも 一歩が踏み出せない 幸せな人に素直に『おめでとう』って言えない 『遊ぼう』ってメールがきても またね、って言ってしまう 外の世界からどんどん離れていく 内にこもってしまう 自分が幸福だったとき、世界は虹色に輝いていた 辛そうな人に『大丈夫?』って言えた ありがとうって言われたら 少し照れくさかった 時間は進む 私の世界も進んでいる 止まっているつもりでもね 『ゆっくりでいいからね』 そう聞こえたのは気のせいかな 『キミの好きな珈琲を』 珈琲を飲んでごらん って聞こえたよ もう一人の私の声 そう、幸福だった頃の私の声だ ぽん、と背中を押してくれたのは もう一人の自分だった 誰かにすがるのはもうやめよう 誰かに期待するのはもうやめよう よっこらしょって久し振りに声を出して、珈琲を入れに行く 足は重いし 頭も痛い けど久し振りに作った珈琲 ほろ苦いけど 心がほっこり温まる 良い香に包まれて 頭が少し軽くなる そろそろ行こうか いや、まだ早い 「ゆっくりでいいからね」 今度は自分で言ってみた 日曜日の昼下がり 私は一歩踏み出した
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