3淋しいから

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「んっっっ、ねぇ?」 哀願の目でオレを見上げる里緒。  いいね、その目、すっげぇそそる。 「何?」 わかっている、欲しいんだろ、もっとちゃんと…だろ? でも、言うまであげない。 オレを欲しいって言えよ。 それが、オレの存在理由になるから。 求められるだけで、オレは満たされるから。 「……意地悪しない、で?」 目を潤ませながら、必死で訴えている。 だから、欲しいならちゃんと言えって。 「今思ってるまま、言葉にしてみ?」 「……っっ」 里緒は顔を真っ赤にさせて、恥じらいを見せながら、戸惑っている。 「………」 もう少しだけ、待ってやるよ? でも、お前のが限界だろ? 「もっと、…」 頬を赤く染めながら、照れた表情でオレを求める女。 たまんねーーっっっ。  オレが動くたびに、彼女の声は高くなり、聴覚が犯されそうになる。 もっと、オレを求めて。 そんな願いを込めて。 今は、オレだけを見つめていろよ。 だけど、何気なく見下ろした彼女の目は、どこか遠くを見ていて、そこに感情なんてものはなかった。 どんな女相手にでも、オレは同じ行為をする。 だって、今一番オレを必用としているのが、そいつだから。 なのに、ウソだろ? さっきまで、喘いでた声は何なんだよ? 冗談だろ? こんなに体は潤ってるくせに。 たった今見た、里緒の瞳を否定するかのように、オレは、また動き続けた。 だって、今オレを一番求めるのは、確かにベッドにいる相手だけだから―――――。
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