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男から受けた傷は、男でしか癒される事がない。
男がいないことで、寂しさを感じた時は、男でしかその寂しさを埋めることができない。
私はそう思うの。
だから、週末の夜は決まってお酒を飲む。
そこに、意味なんてないんだ。
アルコールの勢いで、誰か寂しさを誤魔化してくれる人を捜す。
街に出れば、うざいナンパな男がたくさんいる。
携帯のメモリをスクロールすれば、安い男の名前がたくさんある。
私は、寂しさを紛らわすために、何人の男と肌を重ねてきたのだろうか?
今日も結局、この嵐と寝てしまった。
簡単なんだ、男と女が一つ屋根の下にいれば、すぐに繋がってしまえる。
そこに深い意味なんてまったくなくて、ただ、淋しくない時間が過ぎるだけ。
した後の、腕枕が好き。
何だか、優しくされるのがたまらなく心地いい。
でも、私がホントに欲しいのはそんなモノじゃない。
確かな愛――――。
今、隣で規則正しく寝息をたてているこの男にも、満たされることはない。
だって、ただやりたかっただけでしょ?
そして、それは私も同じ。
だけど、いつも少しだけ虚しさを感じてしまうのはなぜなんだろうか?
「……愛してるって言ったよね?」
眠っている嵐に問いかけた。
もちろん、答えなんて返ってこない。
簡単に、愛してるの5文字を言える嵐がうらやましかった。
それが、若さなのか、それとも嵐特有のモノなのかわからないけれど、一夜限りの相手にでも平気でそんな言葉を吐けるくらい、あなたの愛は簡単なんだね。
でも、私の愛は簡単じゃない。
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