4恋に恋して

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嵐の答えに再び呆れた。 彼氏がいるのに、他の男持ち帰ったり、Hしたりするのは普通なのか? 普通はしないよ。 どう考えても、彼氏いないから、って結論になるんだけどなぁ。 「嵐は、いないの?」 本来、簡単に寝る相手にこんな質問はしないけれど、彼の場合はわからない。 「いないよ、別に欲しいとも思わないんだよね。 なんかさ、彼女とかよく意味わかんねーんだよ。 第一好きって感情がわかんね」 ………。 えっと、、、、 「恋、したことないの?」 「多分、ある」 「じゃあ、好きって感情はわかるでしょ?」 「だからよくわかんねーんだってば」 なぜ? 恋した経験があるのに、なんで好きって感情がわかんないんだろうか? 私には、嵐の方がよくわかんないよ。 「……好きになるってさ、凄く体力消耗するんだよ。 もうね、ギュッと胸の奥から痛みがこみ上げてきて、辛くて悲しくて、だけど止まらない…。そんな感じじゃない?」 なぜに私は、「好き」の説明をしてるんだろうか。 しかも初対面の嵐に。  私の言葉に耳を傾けていた嵐の表情は真剣で、その瞳は何だか好奇心に満ちているようだった。  やっぱり、恋自体、経験ないんじゃないだろうか? そう思うくらい、純粋で、無邪気な瞳だったから。 「里緒は、そんな風に誰かを好きになったことがあるんだ?」 「………」 ストレート過ぎる質問に、私は答えられなかった。 何だかわからないけれど、嵐の瞳に見つめられると、不倫してることが汚れているようで、答えに詰まった。 「里緒?」 「……そうだよ」 「オレもそんな風に苦しくなるような“好き”を経験できるかな?」 ベッドに腰掛けながら、両手を背中で大きく組んで天井を見上げている嵐は、まるで恋に恋してる男のように見えた。 23歳の頃、すでに今の不倫をしていた私とは違って、まだまだ純粋な嵐がたまらなくうらやましい。 何にも染まっていない、汚れを知らない無邪気さが、私を苛々させる。 汚してしまいたい。 そいういう衝動にかられた。
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