5好きの定義

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ピンポン 「…」 ピンポン 「…」 ピンポン ……、もしかして留守? あきらめかけた時、ゆっくりとそのドアは開かれた。 「……あれ?嵐だよね、もしかして忘れ物?」 寝てたのか、かなり不機嫌な声。 愛想笑いさえなかった。 「そう、忘れ物!」 大切な大切な忘れ物。 「じゃ、どうぞ。 勝手に探して」 部屋に招かれて、オレはとりあえずソファに腰掛けた。 「連絡先、聞くの、忘れてた」 そう言いながら得意のアイドルスマイルを見せた。 だって、断られたらヤじゃん? 「は?」 は?じゃねぇよ。 教えろよ! そんな願いを込めて再び笑顔。 ニコッと笑顔。 「ックス、それが忘れ物なの?」 里緒はクスクスと笑いながら携帯を手にした。 「そうだよ、すっげぇ忘れ物だろ?」 「そうだね」 笑顔のまま、彼女は番号とアドレスを交換してくれた。 「オレの携帯は24時間OKだから!」 勢いよくそう言うと、里緒は笑顔で小さくうなずいた。 「私は24じゃないからね?仕事中は無理だよ」 「仕事って何してんの?」 溢れ出る疑問。少しでもたくさん里緒の事を知りたいんだ。 「普通にOLだよ、嵐は?」 当たり前のように返された質問にオレは戸惑った。 「……」 嘘はつきたくない。 でも、普通の男として扱われてるのが心地よかったから、言いたくない気持ちもあった。 だけど里緒の一言で、そんな小さなことはどうでもよくなったんだ。 「言いたくないならいいよ? お互い知り合ったばっかだし、別に仕事が何かなんてたいした問題じゃないからさ」 なんでだろ? オレに興味がない。 そう言われた気分になった。 里緒の言う通り知り合ったばっかだけど、オレはもっとたくさん君を知りたい。 もっと教えて欲しいんだ、だから
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