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「嵐って、知ってる?」
「ん?」
「CRASHってグループの一人なんだけど。BEENS事務所所属のさ」
「ああ!わかった」
知ってたことに違いはないか。
「オレ」
「は?」
「嵐」
「…嵐て同じ名前だね」
わざとか?
「だから、その嵐がオレなんだってば」
「え?」
まだわかんねーのかよ?
「あー、もうっ」
財布に入れてある免許証を里緒に見せた。
彼女は、それに書かれている名前とオレを交互に見比べながら、呆然としている。
その無防備な姿が、かわいいと思った。
「アイドル、なんだ」
ひとしきり免許証と顔を確認しおえた里緒の言葉に笑顔で頷いた。
「そ、オレってばアイドルなんだ」
「だからすっごいオーラ放ってたんだね」
オーラ?
てか、里緒はオレにオーラなんか感じてくれてたの?
なんかうれしんですけど。
ニマニマと変な笑いをしてるオレを里緒はうれしそうに凹ませてくれた。
「じゃあメンバーの流星くんと知り合いなんだ♪」
は?
なぜオレは知らなかったくせに流星は知ってる?
ちょっと、いや、かなりむかつくんですけど。
「そりゃ同じグループだし知ってて当たり前だろ。
じゃあ瞬も知ってるんだ」
「瞬?」
「そう、オレの親友。
さっきまで一緒にいたんだ」
「あー、知ってる知ってる!
瞬くんは有名だよね」
瞬くんはのはって何?
オレはまだまだだって言いたいわけですか?
「オレも有名だもん!」
思わずふて腐れてそう言うと、里緒はクスクスと笑った。
「うん、有名だよ!」
なんか、あしらわれてる気がしなくもない。
「今度瞬と三人で飯でも行かない?」
「楽しそうだね」
そう言った里緒の表情は、他の女が見せた顔と違い、言葉の割りに、全然楽しそうじゃなかった。
オレは単純だから、たたアイドルに興味がないんだと思ったんだ。
でも、違ったね。君はアイドルに興味がないんじゃなくて、年下の男に興味がなかったんだね。
あ、それも違うな。
彼以外、誰にも興味がなかったんだ。。。
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