6気付きたくない恋心

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私がテイクアウトした男の子は、アイドルだった。 どおりでキレイな顔してるわけだよな。 そして、そのアイドルはなぜか私になついてくれて、よく連絡をくれる。 たわいもないメールだったり、電話だけどなんだか楽しい気分にさせてくれる。 でもそれは一時凌ぎでしかなく、会社に行けば私はやっぱり部長にばかり気持ちが動いて苦しくなった。 好きになればなるほど、家族の元へと帰る部長へ悲しみが増す。 抱かれるたびに、罪悪感だけが募った。  そして大嫌いな週末がまたやって来た。 「部長はまた家族サービスですか?」 恒例になりつつある週末の会社でのワンシーン。 不倫なんかしてるくせに、家族思いなパパとして有名な部長に、誰となくからかいが飛ぶ。 「ああ」 苦笑いしながらも、幸せそうに渋い笑顔。 私を抱いた腕で、子供と遊ぶんですか? 奪いたい。 家族の幸せなんか壊してやりたい。 醜い感情が私の中に渦巻く。 ドロドロと、溢れ出る嫉妬でおかしくなりそうだ。 もがいても、もがいても、溺れるだけのこの恋から、逃げ出す術はありますか? もしあっても、私は溺死を選ぶ。 確かな幸せよりも、不道徳で背徳的な部長との一時が、何よりも私を溶かすから。 甘い甘い安定した幸せよりも、しびれるような快楽が欲しいの――――。
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